ローランド JW50

 

 

 いいでしょう。ローランドのシンセの中で一時代の創始者(?)でありながら、全くヒットしなかった機種。

 私が大学を卒業し、S楽器に入社して半年位で発売になった機種です。当時としてはとても画期的なシンセサイザーで、私も一発でほれこんで買ってしまったのですが、残念ながらあまり売れなかった。

 何が凄いかというと、本格的音源ながら、バッキングマシーンである、ということ。ROCK1とかスタイルを選んで、そこにコード進行を自分で入れると、ドラム、ベースと他2つの楽器の伴奏が出来る、というものです。そのフレーズを幾つか組み合わせて、その他を打ち込むだけで、曲が出来てしまう。これとMTR(レコーディング機材)で何曲レコーディングしたことか!さらに適当に組み合わせたパターンで、ギターのソロの練習(アドリブ〉したり……。いやあ楽しみました。しかも50,000音16トラックまで記憶できる、当時としてはスーパーシーケンサー。GS、GM対応はもちろん(GS、GMとは―調べて下さい。省きます)。

 しかし何故売れなかったか。
 まず、音源、本格的といえども、そのころJV80というもっとしっかりした音を持つシンセがあり(その後JV1000というのにうつる)、それと比べると明らかに負ける。というので「デジタリアン」の間ではさほど人気が出なかった(妻は当時そのJV80その他で作ったデモテープを有料でお譲りしていたらしい)。
 2つ目の理由として、ギターユーザーの間ではまだ、シンセが浸透していなかった。しかも定価195,000円(多分)という値段。ギター小僧にはチト手が出ない、デジタル人間は148,000円でJV80を買う、みたいな感じで……。やはりこの楽器も中途半端なところにある楽器です。 このJV50登場後、コルグもローランドも色々とバッキングマシーンを出してきます。最近は3〜4万位で持ち運びできる、ドラムマシーンの進化したようなやつとかエフェクターとセットになったやつとかも出てきた。今やギター小僧にはバッキングマシーンが必須アイテムだ。でも今この現状の始まりは、このJW50からだった、というのを知って欲しい。

 今では妻のおもちゃとして、あるいは長女どぅりの練習用として生き延びています。今でもピアノの音とかまだ使える音ですよ。たぶん。


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