ギブソンハミングバード  


 いいでしょう。
 今回はギブソンの銘器、ハミングバード(以下HB)の自慢です。

 何が凄いって、このHB、世界に100本しかない限定ものなのです。ギブソン社が1994年に100周年を迎え、その記念モデルとして、日本の輸入代理店の山野楽器が100本限定で発注、国内のみ発売した代物。だから国内で100本なんだけど、世界でも100本。シリアルNOとは別に「25 of 100」の番号も付いています。

 HBと言えば、トップ(表板)がチェリーサンバーストに仕上がっていてピックガードにハミングバード(ハチドリ)の模様。いやあ憧れていました。(おかしいから。注:妻突っ込み。)このギターの音はというと、さすがギブソンといった感じ。ギブソンと言えばレスポールというエレキギターが有名。スラッシュに代表されるようなヘビーな音(最近ではB’Zの松本氏がシグネイチャーモデルを出していますが)。それからロックンローラー(死語)がよく持つセミアコのES335。こういったエレキギターが代表格なだけあって、アコースティックギターもロックな音。乾いたカタイ音。……ん?でもHBってこんなにカタかったっけ?まあいいや記念モデルだし。

 それからサイドバックの美しいトラ目

 豆知識。白い木でトラ目が出ていると言えばメイプル(楓)。メイプルは堅く、音も硬い。トラ目やキルト模様などが出ているものが上等とされ、音も良いらしい。私はそこまで分かりませんが。

 このHBのトラ目は幅も揃っていてう〜〜ん美しい。(だからおかしいから。注:再び妻突っ込み。)

 えー?!本来HBのサイドバックはマホガニーのはず。記念モデルだからか、メイプルなのは?でもギブソンから出ているアコースティックでDOVEというモデルがあるのですが、HBと同じ形状で、ピックガードにDOVE(鳩)の模様、サイドバックはメイプル。HBとDOVEの違いは、ピックガードの模様とサイドバックの材の差のみと思ってた。
  これDOVEじゃん。HB模様の。何だかよく分かりませんが、山野楽器関係者、或いはご存知の方、是非教えてください。

 さてこのDOVEもどきのHBは結婚直前、S楽器姫路店に勤めていた頃購入。そのころギターの担当をしていて、商品の発注とか任されていました。
  ある日のこと、店長のH田氏が電話をしていて、「高垣すゎ〜ん。(山野楽器の)K剛地さんが話あるって」。K氏「もしもしお世話になります〜まいど〜」。「高垣さん、レスポールのB級品いらない?掛け率○%でいいよ」高垣(40%以上OFF出来る)「傷の状態は?」K氏「チョイ傷」高垣(今エレキの在庫がほにゃらかあるから、2本入れても何とかなるな。すぐ売れるだろうし)「いいねえ。あと5%下がったりしないよね〜」とカマをかけてみたのが運の尽き。
  にやり。きっとK氏は電話の向こうで口元が緩んだはず。
 K氏 「HBがあるんだよね〜、1本。しかもアニバーサリーのやつ」高垣「アコギか〜。この前いろいろ入れたばっかりだし。アニバーサリーならなおさら定価が高いじゃん〜」。当時HBは定価27万くらいで、アニバーサリーは40万。「ムリムリ。おいしいけど」。私がそう伝えるやいなや、「高垣さ〜ん、HB好きだよね」高垣(いつの間にそんな情報手に入れてんだよ、確かに好きだけど。)K氏「どう?高垣さん買わない?」高垣「また〜。すぐ結婚だし金無いし」K氏「大負けで高垣さんが買うということで、3本共5%引く。高垣(それならレスポールも半額で出せるじゃん。いやいや、店の為に自分が買うことない。じゃあ在庫にすれば……だめだ、在庫過多になっちゃう)。
  K氏が追い討ちを掛けるように「傷ってさあ、クロック(塗装の割れ、ラッカー仕上げだと乾燥で割れることもある)なんだよね。つまり、ギター本体(木)の傷じゃない。クロックが入るというのは、木が充分呼吸してるってことだから、何年かするとすごくいい音になるよ」なんて嘘か本当か分からないトークを言ってくる。そしてトドメ「高垣さんいらないんなら、他に回すけど」。
  回されたら困る。その頃震災(阪神大震災)で店を無くした楽器店が姫路に進出してちょっとライバルになってたから。高垣「1日考えさして」K氏「駄目。今日20日でうちの〆だから、今日中でないと。4時ごろまでには返事ちょ」。
 3時過ぎてんじゃん!
 K氏「どうするよ〜高垣さん。世界に100本だよ。次はもう無いよ〜。いいの〜〜」。
  負けました。「3本送ってください」。36回クレジット、結婚も間近だったというのに。 私がハミングバード好きだということは、どうやらH田氏から漏れたらしい。というか、2人の罠だった。

 でも最近弾いていない割には音が良くなってきたし、まあいいか。 ところでこのH田氏にはめられたのは、この1本だけでなく、まだあるのですが、それはまたいつか。


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