悪魔の音楽辞典

♪ア テンポ(a tempo)

 気持ちよく演奏していたところ、記号を発見するのが遅れて、慌ててテンポをもとに戻す。「あ!テンポ!」

♪ア ポコ(a poco)

 某大手会社のマスコット「ペコちゃん」には、人気・知名度ともに少しずつ及ばない。「ほら、あの子、何ていう名前だったっけ?……あ!ポコ!」

♪アンダンテ(Andante)

 大阪の方が東京より速い。

♪音楽家

 名乗りさえすれば誰にでもなれる。

♪格調高い演奏

 独特な解釈で進む演奏。

♪格調高い音楽

 独特な音で綴られた音楽。

♪格調高い評論

 独特な基準で辞書の中の一番難しい言葉を選び、書いた評論。

♪楽譜

 難解な地図。行き先は大変魅力的であるらしいが、正確なところは作成者のみぞ知る。
 そのせいか古来より、ごく近くを言い当てる者からまるで見当違いを言い出す者まで後を絶たない。
 しかし実際に旅立つ為には、地図が大掛かりなものであればあるほど、大勢の他人の力が不可欠である。 また大体において、その者達は優秀で、隊長の意のままに動くことが求められる。

♪管楽器

 @人間に取り憑き、彼らを酸欠に導く装置。
 A愛好者は多いが、本来の能力を100%発揮することの少ない珍しい道具。中には楽器なのか貴重品なのか分からない代物も。

♪記譜

 一般的に正しいとされている表記以外で理由も無く記されると演奏が大変困難。譜読みの段階では、初心者に近いほどすらすら読めたりもする。

♪クリスマスソング

 異教徒までもが歌う、教祖誕生の祝歌。

♪クロス

 楽器を磨く布。たまに洗濯されることがある。

♪五線譜

 一枚あたり、コピー代とどちらが安いかが購入の目安。

♪コピー機

 大量の著作権法違反物を楽々製造する便利な機械。

♪指揮者

 大勢の人に当然のようにおしりを向けておきながら成り立つ変わった職業。

♪師事

 プロフィール用語。自ら決めたプロ奏者・講師を師と仰ぎ、年賀状等の挨拶を欠かさずすること。尊敬しているとなお良い。既定は難しく、だが一定期間教わっただけで師事と明記すると経歴詐称に当たり、政党さえクビになる昨今なので注意。「〜氏に影響を受け」などの控えめな記述が望ましい。

♪写譜用ペン

 不用意に使うと某吹奏楽譜出版社の楽譜になる。

♪吹奏楽部

 そのトレーニング法及び精神のあり方において、体育会系に属するケースがままある。ケイケンシャという存在が絶対的なものであるところほど濃い。

♪セクレン

 急いては事を仕損じる。練習もまた然り。→【類】パーレン。

♪2世音楽家

 たいてい世間の悪評には強い。世間よりずっと強力な親の苛立ち、罵声、怒声に負けるようではビッグになれないのだ。

♪パーレン

 ファーレンモトジとは何の関係もない。ある種の関係団体で普及しているらしい用語。→【類】セクレン。

♪ピアノ

「吹きながら押す」楽器が多い中、「叩きながら叩く」大変素直な楽器。

♪評論家

 「とあるアマチュア声楽家が出したレコードを、『そんなものは売れない』と、評論家が酷評した。だが民衆はそんなに下手なら聴いてみたいと思い、レコードはバカ売れした」。つまり評論家には、コピーライターの才能も必要なのである。

♪譜面台

21世紀に入って、パソコン入力に使われる機会が増えた。
オーナーが結婚すると、物干し台にも。

♪フルート

 古来より人や動物を魅了してきたその音色は神のものだと信じられているが、悪魔も笛を吹くことがあることを忘れてはならない。

♪プロ奏者

演奏して御礼をもらいさえすれば誰でも名乗る事が出来る職業。それで生計がたっていなくとも良い。

♪棒

音楽界における棒の種類は大まかに分けて3つ。「雄弁な表現者」と、「巧みな演奏家」、そして「愛すべき掃除屋」だ。

♪メトロノーム

 演奏者を従わせる、偉大かつ原始的な原理の機械。

♪レコード

 流行との溝は深まるばかり。

♪練習

@他人に我慢と忍耐を強いる極悪な行為。

A「ある夜、コンサートを聴きに行こうとしている若者が道に迷った。開演時間まで余裕が無かったので、停まっていたタクシーの運転手にカーネギーホールへの近道を尋ねたら、運転手曰く、『練習、練習!』」

♪ろうそく

フルートのジョイント部を滑りやすくする炭素系の固形物。プロ推奨。芯には火をつけることが出来、仏壇にも使用可能なすぐれもの。

 

 

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